ざしゅっ
ベチャ、ベチャ
グサ
ポタ、ポタ
キレの良い音が聞こえる。
風を切る音なんかじゃなくて、肉を切裂く音。
「私だってこんな事したくなかったんだよ?」
「はっ…信じられっか」
「私も信じられないけどね」
目の前に広がる真っ赤な液体。
それは段々と寄添うように圭一に方へ広まっていた。
あぁ、血にも感情はあるんだ、と思いながら。
「魅音ね、圭一のこと好きだったんだよ。知ってた?」
「あぁ、なんとなくな。出来れば魅音からその言葉聞きたかったぜ。」
「じゃあ私が魅音になってあげるよ?髪型も制服も一緒にして。」
「いいや。お前に魅音を出来るハズがねぇよ」
「なんで、分かるの?」
「心が違うからな」
ココロガチガウ?
ざしゅっざしゅっ
ポタポタ
もう皮膚なんて見えない。
真っ赤な固体となってしまった大好きな姉。
だけど私はまだ鋭利な刃を刺し続けた。
憎き姉を。
「魅音に当たるの、やめろよな」
「…もう死んじゃってるから構わないよ」
「ひでぇ奴だな。」
「そういう圭一こそ口元と目元が笑ってるよ。」
「気のせいだ」
ざしゅっざしゅっざしゅ
神様はどうして私たちを同時にこの世に送り出したのだろう。
どうして容姿やら何やらを全て似せたの?
なんで好みまで一緒にしたの?
これは私が悪いわけじゃないよね。
全て神様が悪いだよね。
そうでしょ?
なにひとつわたしは悪くない。
じゃあ悪いのは………ダレ?
「…気が済んだ」
「次は俺の番か」
「圭一は殺したりなんかしない。ただずっと傍に居てくれるだけでいいよ」
「それはそれでキツいぜ」
「私はそれを望んで来たの。だからこうしてみんな、」
「醜い嫉妬 だな」
「…っ」
ざしゅっ
ポタ、ポタ
「うぁぁぁっぁあっぁぁああぁぁぁ!!!!!」
「煩い。…圭一は大人しく私の言う事に従えば良い。余計な事を口に出すな。」
「喋るのが好きな俺にとっちゃ、苦しいな、それ。」
「黙れ。口答えをするな」
グサリ
ベチャ
「つっ」
「・・・・・今度は鳴かないの?」
「ハッ…こんな痛み、叫ぶほどでもねぇんだよ!!!」
「強がり」
グサッグサッ
ベチャベチャッ
「…鳴きなさいよ。」
「つっ、、、俺は……死んで、も…お前の言う事なんて、、聞かないからな!!」
憎まれ口をいつまで叩くのだろう。
とっくに圭一の右腿は真っ赤に染まっていて骨まで見えると言うのに。
コイツは人間か?
「どうして…?難しいお願い事なんてしないよ」
「不公、平じゃねぇか…大事な仲間たちに対して……」
大事ナ仲間タチ……?
「・・・・・・・・・生きても無いのにまだ仲間だと思っているの?」
「死んだら絆が消える、なんて事はねぇんだよ」
そんなのね…世の中では綺麗事って言うんだよ。
グサッッッッッッ
ジリジリジリジリジリジリ
ポタッポタポタッ…
「ぐぅっ」
左腿にねじ込むようにして刃を押し込む。
なのに、コイツは鳴かない。
どうして?
「俺は、はぁ、…っ、鳴かないから、な。。。。」
「………そう。」
「あぁ、こんな痛み……魅音達に比べれば軽いもん、、だろ……?」
意識が朦朧としているのに何処まで強がるの。
逆にその姿が美しいと思う私は
もう人間じゃないんだ、ね
「・・・・・・・そうかもしれない。魅音は全部の爪を剥ぎ取っ、」
「言うな。」
「・・・・・なら言わない。」
「そうしてくれ」
こんな時にまでかっこよくみえてしまうなんて………………
幸せだと思って選んだ道。
だけど…それは間違っていたんだ。あぁ、やっと気づけた。
「ちょっと外へ行って来る。そのついでに食べ物も持って来てあげるね。
ああ、大丈夫。別に変な薬とかは入れたりしない。」
「はは」
「圭一。」
「ん?」
「ごめんなさい」
急いで階段を駆け上がり
六月とは思えないほどの気温だった闇の世界へと身を出した。
さっきから聞こえる謝罪の言葉。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい...............』
「…貴方はどうして謝っているの?」
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい...............』
「どうして…?誰に対して謝っているの?」
『全ての人にです。ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい.......』
「何故貴方が謝るの?」
『・・・・それは貴方だからです。』
私、だから…?
そう、皆から幸せを奪ってしまった貴方です。
・・・・だから貴方が謝っているのね?
そうです。
・・・・じゃあ私も一緒に謝っても構わない?
それだけで幸せは戻ってきません。
分かってる。
・・・・なら一緒に罪を償いましょう。己の穢れを全て落としましょう。
この私が全て受け止めてあげます。
『「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい.......」』