ドリーム小説
「ふわあぁぁ・・・・・・眠い。」
欠伸をしながら今日の朝食を匂いで探る。お、今日は鮭の塩焼きか!
階段を淡々と降りて0.1秒の速さでがーっと食す。
もちろんちゃんと味わいながらだ。
昨日、大して面白くも無いテレビをぼーっと観ていると電話が鳴った。
バッと飛び上がって電話に出るとあ、もしもし?との声が聞こえた。
「もしもしー?か?」
「圭一君!今電話して大丈夫だった?」
「おう! ところでどうしたんだ?」
「えっと、その、…明日よかったら会えないかなぁー…なんて……」
カレンダーを思い出して明日の予定が無いことを確認して、快くOKした。
じゃあレナ達も呼ぶか?と言えば凄い勢いで『それはダメ!!』といわれてしまった。
圭ちゃんは家で待ってれば良いからね!というのを聞いて電話は終わった。
そんなわけで今朝に至る。
もうじきが来る時間だろう、俺はそれまで部屋の片付けしておくことにした。
今日の朝の目覚めは最高だった。目覚ましが鳴る前にパッチリと起きられたのだ。
鼻歌交じりで準備をしながら冷蔵庫から昨日包んだ箱を出す。
「・・・・喜んでくれるかな。」
昨日の電話でレナ達を呼ぼうかと聞かれた時、圭一君はバレンタインの存在を忘れてるなって思った。
じゃなきゃそんな事さすがに言うはずないだろうし。
甘いのが大丈夫か聞き損ねたが頑張って作ったチョコチップマフィンと簡単なトリュフチョコ。
喜んでくれる事を信じてバッグに詰めた。
「こんな朝早くからお出かけか。」
「お父さん! あ、ちょっと待っててね」
ハイっとお父さん用に作ったビターチョコを上げる。
毎年欠かさずに渡しているけれど、その度に嬉しそうな顔をしてくれて受け取ってくれる。
・・・・圭一君も嬉しそうな顔してくれるかな。
この日の為だけに買ったワンピースを来て天気のチェックをする。
雲ひとつ無い青空に心が弾む。
「じゃあいってくるね!」
「いってらっしゃい」
ピーンポーン
家の中には俺しか居ない分、2階からでもインターホンの音が聞こえた。
急いで玄関の扉を開けてやるといつもの数倍ニコニコとしているが居た。
「お、おはようっ!」
「おはよう! 今日は何か良いことでもあったのかー?」
「えっ!なんで??」
「すっげー嬉しそうにニコニコしてるから良い事あったのかなって」
そっそんなこと無いよ!と、首を激しく横に振る姿は恐らく図星だろう。分かりやすいヤツだ。
家の中に入るとは珍しい物を見るかのようにはしゃぎまわった。
「私はじめて圭一君の家に来たよ!やっぱり中もすっごく広いねー」
「そうか?確かに大きい気もするけどよくわかんねぇな」
とりあえずソファーに座らせてお茶を持って来るとエヘヘと恥ずかしそうに笑った。
「どうしたんだ?」
「えぁっ、その、・・その洋服似合ってるなぁって!!」凄くかっこいいよ…なんて。
「そ、そぅかぁ?!」
思わず声が裏返りそうになるのを抑える。
時々、のこういう言葉にドキドキしてしまって無駄にテンションが上がってしまう。
恥ずかしげも無くニコニコと言っていれば尚更だ。男のヒットポイントでも勉強してるんじゃないかと思う。
ふと、のワンピースが目に映った。
それは見たことも無いワンピースだということに気づく。
そうか、さっきから感じていた違和感はこれだったのか!
「もそのワンピース可愛くて似合ってるぞ」
ちょっと奮発して買ったワンピースに圭一君は気づいてくれるか不安だった。
だからその一言がどれだけ私を嬉しくさせたかなんて知らない。
思わずニヤニヤして緩んでしまいそうな口を必死で固くする。
「ありがとう!!」
「あ、そういや今日はどうしたんだ?」
「え」
言われるまで忘れていた事に気づく。今日は何のために来たんだ…!!!
ちょっと待っててね、と言いカバンの中のを探して箱を探す。
「えっと・・・んと、じゃあ、目を瞑って下さい!」
「お、おう?」
ここでしまった、と思う。
何を言うか決めてない!今更ながらに心臓がドキドキうるさくなって頭が白くなってくる。
この静けさが余計に私を焦らせる。
何を言おう、何を言おう………。
気持ちを伝えたいけれど、それはこれからもよろしくって意味だし、
あれ?そしたらわざわざ家まで来なくてよかったんじゃない?
あれれ?
「ー?まだか?」
「もうすこし!!」
だいたい今日はバレンタインってこと圭一君は知ってるかな?
でもこれ一応・・・・本命。で作ったし・・・・あぁどうしよう。
どんなに悩んでも結論が出てこないので思い切って渡す事にした。
「ハイッ!!!」
「?」
目を開けるとそこには可愛らしいラッピングのされた箱が差し出されていた。
俺今日誕生日だったっけな?貰う節が思い当たらない。
その様子を顔で悟ったのか…やっぱり。とが呟いた。
「今日はバレンタイン、なんだよ・・・」
「?!マジかよ!!!!」
「なんか、忘れてるなんて圭一君らしいね」
ふふっと笑ったを何故か魅力的に感じつつ、ラッピングを開けていく。
そこには可愛らしくトッピングされたチョコが入っていた。
「うぉぉおぉぉ・・・・・すげぇ。」
「そっそうかな?!甘い物大丈夫か分かんなくてマフィンと簡単なトリュフ作ってきたんだけど…」
「お前こんなの作れんのかよ?!すげぇよ!!」
「あ、ありがとう・・・!」
でも味がどうか分かんないかも、と呟いた。
じゃあ早速貰うぜ!と許可を取ってトリュフを掴んで口に入れる。
「どう……かな。」
「…………」
頑張って作ったお菓子を褒められて凄い嬉しかった。
でも余りにも長い沈黙に私はすっかり意気消沈してしまっていた。
じーっと構えていると、圭一君が重々しく口を開けた。
「。」
「は、はいっ!」
「・・・・・俺のお嫁に来ないか?」
「ぇ?」
「すっっっっっっっっっっっっっげぇ美味いよこれ!!!!!!!」
「わぁっ?!」
顔がドアップで思わず後ろへ下がってしまった。
だけど何より美味しいって言われた事が嬉しかった。
本当に頑張った甲斐があったなと思った瞬間。
「あっありがとう!!!」
「こちらこそだよ!もっと食べて良いか?!」
「うんうん!!」
ひとつひとつ味わいながら食べてくれる圭一君が可愛くて
ついついニヤニヤしてしまう。
しかも食べる毎に感想とかをくれるから尚更嬉しい。
それから
今この時間を2人だけで過ごしてることが凄い幸せ。
可愛くトッピングされたチョコ達を食べながらがニコニコしていることに気づく。
それにつられて俺も笑ってしまう。
ちょっと口の中が甘くなった頃に紅茶いる?と気を利かせてくれたので素直に甘えた。
「わ、全部食べちゃったんだね…」
「おう!凄い美味しかったよ!!ありがとうな」
ふと、包みを見て思った。
圭一君の手が止まってどうしたのかなと思えばバッと前を向いた。
「これって義理なのか?」
一瞬何を聞かれたのかと思って顔が硬直してしまった。
そうだった、私言ってなかったよ・・・・!
一応本命として作ったチョコ。
だけど本命とはレナや魅音達を思うとどうしても言いづらかった。
そんな事言ったらレナ達は遠慮は無しだよ!というだろうけれど、言いづらい。
だからといって義理とも言い難い。
やっぱり気持ちを込めて作ったものだってわかって貰いたい。
の顔が険しくなっていくのを見て、聞いちゃいけないことだったかなと思った。
だけどもう言ったからには答えを聞きたい。今さら訂正なんて遅いだろう。
なんて思っていたら、いきなりバッと立ち上がってニコッと笑った。
「・・・秘密・・・・・かなっ」
気づけばを抱きしめていた。
曖昧な表現でごめんね、と心の中で謝っていると目の前が急に暗くなった。
暫く状況把握に戸惑って変なうめき声しか出なかった。
「なぁ」
「なっなにかな?」
「ありがとう。」
その後私たちは付き合う事になったけれど、それはまだ遠い日のお話。
だけど、絶対この日がきっかけになったと思ってる。
じゃなきゃあの後キスなんてされてないはず、多分・・・・。
縁結びのオヤシロ様、ありがとう。
ハッピーバレンタインvv