パッと目が覚めて時計を探していると夕方の4時を指していた。
もう学校が終わる頃だろう。
今日は部活あったのかな…圭一勝てたかな?
「っくしゅん!」
早くこんな熱を冷まして学校に行きたい。
雛見沢は豪雪地帯とだけあって冬場は特に寒く3月でも凍えるようだった。
都会から来たもやしっ子の私にはかなり耐え難く、
ついに3日前風邪を引いて昨日の夜高熱が出てしまった。
そんな状態で学校に行かせて貰えるはずが無く1日中寝込んでいた。
すっかり時間のつぶし方を忘れていた私は
やっぱり学校の、いや魅音達の存在は凄いなと改めて感じていた。
ここに来るまで学校を楽しいなんて思った事が無かったのに
今では高熱を出してても行きたいと思ってる。
都会なんかよりずっと空気はキレイだし村の人も優しい。
こんな世界もっと早く知りたかったなぁ…
「はっくしゅんっ、…くしっ!!」
手探りでティッシュを乱暴に取り鼻をかんで適当にゴミ箱がある方向へ投げる。
そろそろ山になっていそうな気がする。
本当に何もすることが無くベッドから上体を起こして外を見ていた。
相変わらず圭一の家は目立っている。
そんな事言ったらちゃんも十分凄いけどなぁー…とレナが言っていたけれど
あの屋敷に比べたら全然だ。
こんな時、圭一でもレナでも来てくれたら良いのになー
そして一瞬自分は魔法使いになったのかと思った。
ピンポーン
まさに狙ったようなタイミングでなったチャイムに慌てて部屋から飛び出して
病人患者なんて忘れてドアを勢いよく開けると唖然としている圭一が居た。
「圭一?!」
「!お前出てきて大丈夫なのか?まさか出てくるとは思わなかったぜ」
「だ、大丈夫だけど…どうしたの?」
「お見舞いって所かな?帰り道ついでに、」
とりあえず寒いだろうから中へ招き入れることにした。
挙動不審に家の中を見回しているので前原屋敷と中身はそんな変わらないよ、と言ったら
って社長令嬢だったっけ?と返ってきた。
「・・・・・俺の部屋の倍くらい広いぞ」
「えっ?」
部屋の中に入っての第一声は必ずみんなコレだった。
椅子を引っ張り出してそこに座るよう言うと高そうな椅子だな、と顔に出ていたので思わず笑ってしまった。
一応病人なんだからベッドに入っとけ、と有無を言わせぬ口調に大人しく従いしばらく沈黙が続いた。
「あっあたし、まさか圭一が来るなんて思わなかった!」
「それってどういう意味だよ?」
「だから圭一が来てくれたらなって思ってたときに来て嬉しかったよ」
心なしか圭一が照れているように見えてこっちまで恥ずかしくなった。
「み、魅音たちが寂しがってたぞ?が居ないと俺のお世話係は大変だーって。全く失礼なやつらだよな」
「あははっ確かにそうかもね〜」
「その様子だと明日来るのかー?まだ休んで良いんだぞ」
「いやいや皆に迷惑掛けるわけには行かないからね!」
相変わらず私と圭一はこんな言い合いが多いけれどこれが気に入っている。
沙都子と圭一がいがみ合っているのでさえ羨ましく思ってしまうくらい。
それから暫く圭一から今日の1日報告を聞いたりツッコんだりして談笑が続いた。
話が終わったのか静かな雰囲気が1分ほど。
―ガタ
圭一が椅子を引いた音が聞こえた。
「あ、・・・・」
「それじゃあもう暗くなってきたし長居してごめんな。」
「ううん、平気。帰り気をつけてね?なんなら送って行こ、」
「お前病人なんだから大人しく寝とけ!ほら体起こさない」
楽しい時間があっという間に終わりを告げようとしていた。
下まで送るよと言っても外は寒いからダメだ、と寝かせつけられる。
圭一はこういうのには鈍感なんだと思い出す。
―前言撤回。
「・・・・・・そんな寂しそうな顔するなよ」
「べ、別にしてなんかっ!」
ふわ、り
熱くなった顔に冷たい手が乗った。
それは紛れも無く圭一の大きな手で撫でられていた。
「早く元気になって早く遊ぼうぜ。…お前が居ないと寂しいんだぞ」
「圭一……」
少女マンガで見るこういうシーンで顔が更に熱くなるわけないじゃん、とバカにしていた自分を叩いてやりたい。
熱が引いていた顔が火照っていくのを感じた。
思わず頬を両手で抑えると圭一が勘違いすんなよ?!レナ達が…と言った。
「圭一の意地っ張り。」
「う、うるせーよ…」
「ふふっ じゃあ頑張って治すね!」
「あぁのメイド服楽しみに待ってるぜ!」
「絶対負けないから!…それと明日来れなかったら責任取って明日もお見舞いに来てね?約束!」
「はは、なんだよそれ?」
子供みたいに小指を絡ませて約束を交わした。
やっぱり、圭一はすごいね。