ドリーム小説 「ねーねーねーねー!!」

俺の裾を何度も引っ張りながら、しつこいくらいにねー!を連呼してくる
老人じゃないんだぞ、俺は。立派な思春期真っ盛りの高校生なのだ。
(まぁ、誰かさんのおかげで十分に思春期を楽しめないことが分かっているのだがな。)

「そんなことよりさー、ちょっと質問!!」


そんなことよりって。お前は俺の苦しさを解ってくれていると思っていたのに。
おにーさんは悲しくなってきたよ。



「キョンなら、私の何処にキスをしてくれる?今から言う所から選んでね!!!」

いきなり何を言い出すのかと思いきや、接吻?・・・お前も随分と大人になったんだな。


「手の上・額の上・頬の上・唇の上・目蓋の上・拳の上・腕と首の上。 キョンなら何処?」




待て。選択肢多すぎないか?おい。これの中から選べっていわれたってなぁ…。
というか、まず何故いきなり聞いてきたのかも分からない。女心は何歳になっても掴めない様な気がしてならんのだが。
一応考えるフリをしておく。いやちゃんと考えてるさ。だけどそんな簡単に答えを出していいものじゃないだろう。

「答えは、今日の帰り!今日部活ないんだよね?じゃあ一緒に帰ろうね」



天使のようにニッコリと微笑む。その瞬間やばいくらいに見惚れてしまった。ちょうど良い陽の光が
更にを可愛く見せた。


そして、スカートが軽く風に揺れてちらっと見えた太ももが思わず目に入ってしまった。これには参ったぜ。
そんな所を見られたとも知らないだろうは「じゃあ、下駄箱で待ってるね」と言い残して
ふわりと髪を靡かせ、軽やかな足取りで、自分のクラスへ戻った。




そのせいで、先生のこもり歌は頭の中に入ってこなかった。
ありがとう。のおかげだ。

夕焼けに照らされて、は俺の靴箱の前に背もたれて待っていた。

「遅い。」

俺を睨むような感じで、顔を見上げて怒りを表している。
お前の頭一個分か二個分ある俺にとっちゃ、それは立派な上目遣いにしか見えなかったのだが。
ぷくーっと膨らせてる頬を、両手の人差し指でやんわりと空気を抜いてやった。
そんな顔してちゃ、いい男もよって来ないぞ。


「いいもん別に・・。」




今そんな風にぼそっと聞こえたのだが、気のせいだよな。その後に


「キョンがいるから。」

というのもきっと空耳だよな。まさかな。はははは



「さっきの答え。もう決まった?」
「あぁ、もちろん。じゃなきゃここに来てないぜ」
「そう・・。じゃあ、私目瞑るから、そこにしてほしいの。」

女は大人になるにつれて、だんだんと積極的になっていくのか。羨ましいぞ。


すると、は目を瞑っていた。

よかった誰も居ない。

こんなところ誰かに見られてたら、ハルヒと同等に学校中にひろまっちまう。

『SOS団員のキョン、放課後の下駄箱で愛人とキス!?』なーんてな。

ちなみに、全校は俺の彼女はハルヒだと思い込んでいるらしい。
ハルヒにとっても、俺にとってもいい迷惑だ。だから、多分誰かがストーカーのように
この現場を目撃していたら、こんな風に書かれるだろう。



俺はそんなことを想いながらの肩にぽんっと手をおいた。
それと同時にの肩は大きく撥ねた。
よほど緊張しているのだろう。そんな姿を見せられちゃ、こっちもちゃんとせねばならんな。
ゆっくりと目を瞑って、の顔に急接近する。
近づいてるのが、分かる。微かに吐息が顔にかかる。



「んっ・・。」

触れた瞬間甘い声が聞こえた。















このまま時が止まってしまえばいいのにな。そう思ってしまった。
名残惜しいが、ゆっくりと自由にさせてやる。石像同然に硬直してたの体は
気が抜けるように、効果音を出すとしたら・・そうだな。

ふにゃふにゃ〜が1番合うだろう。

そして、俺はにこう告げる。


「唇の上なら、愛情のキス。 だろ?」
「なっ…キョン知ってたの…?」


目を大きくして、俺を見る
いくら俺だって、この言葉くらい脳内に入ってるさ。
少なくとも思春期の男の中には絶対入ってるだろ。
といっても俺の場合、さっきの授業で学んだのだがな。ナイス先生。
にしても、これを考えたグリルさん。貴方もお偉い。




「あ、あたしてっきり額にされるのかとおもっ・・・・。たっ・・。」

俺がしたことが予想外すぎたのか、それとも嬉し涙なのか。それとも悲しいのか。
どちらにせよ、の頬には涙が流れていた。




きっと、俺はあの笑顔を見なければ自分の気持ちを隠していただろう。
というか、気づいてないフリをしていただろうな。お前はすごいよ。
ぺたん、と完全に床に座っていると同じ体勢になる。
顔真っ赤で目潤んでる。やばい。正直今すぐ抱きしめて、よしよし。としてやりたい。

…駄目ですか?




「ふぇっ」

頬に優しく手を翳すと、なんとも朝比奈さんに負けないくらいのスウィートヴォイスを発した。

「あんまり泣くと、せっかくの顔が台無しだぜ?」




なんていう俺の口から予想外の言葉を出して俯いてるに、そっと下から唇に接吻をした。
きっと、こんな積極的な俺この先ないかもだぞ。
しっかりと脳内と唇に焼き付けておけよ。





目を開けて、甘くまるでシフォンケーキのような柔らかい唇から離すと目が合った。
それは、ありがとう。と言わんばかりのキラキラとした強く潤んだ瞳だった。
ぽんぽんっと頭をなでるように叩くと、嬉しそうに
「キョン、大好きだよ。」とあの時の笑顔を見せてくれた。





その時の俺は、きっと顔が真っ赤で思わず頬がゆるんでいただろう。
夕焼けが上手くフォローしてくれてたら良いのだが…。


「じゃ、帰るか。」と同時に俺はに手を出す。
「うんっ!」 暖かい手の感触を味わうために、俺は自分のポケットへと入れた。





幼馴染と言う壁をやっと俺は越えれた。
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