ドリーム小説 「星野のイジワル」
「何か言った?」
「バカ!」
「なんとでも言え」
「〜〜〜〜!!」

星野なんか大嫌いだ。
大嫌い大嫌い大嫌い・・・・・
でも好きなのはなんで?







放課後は教室に2人きりで残っていてこれは習慣となっていた。
だけどそれは毎日じゃなくて、お互い気が乗ってる時だけ。
今日はお互い気が乗っていて機嫌も良かった。…だから星野がいつもよりイジワルだった。

特にする事が無かったのでいつも忘れがちな課題を片付けていた。



「あ〜分かんない〜!!星野分かるー?」
「当たり前だろ?と違って賢いんだぜ」
「どうせ頭悪いですよ!だから教えてよ〜〜」


素直に星野が教えてくれるとは考えづらいなと思いつつも頼んでみたけれど
結果は予想通りで『そんくらい自分で考えろ!』だった。
自分で考えて解ってたら苦労しないってどんなに伝えても、星野は分かってくれなくてこうやってイジワルをしてくる。
どんなにしつこく頼んでも教えてくれなさそうなので、溜息を吐きながら再び課題ノートへと視線を写した。





ここまではいつもと一緒だった。







「でもまぁ言う事聞くんなら教えてやっても良いぜ」
「え?」


思わず星野を見てその瞳は真剣そのものだと思った。
星野が教えてくれることなんて滅多に無いので(と言っても条件付きだけど)
何か悪いものでも食べたの?と思ったことを口にしたら
別に教えなくても良いんなら教えないけど?と不適に笑って返された。



「で、どうする?言う事聞く?」
「…聞くだけ聞く」
「別に難しい事じゃないぜ。俺にケーキを五つ奢る事を約束するだけ。あ、ちゃんと買えよ?」
「・・・・は?」



一瞬何を言ってるのか分からなかった。え?ケーキ奢れ?しかも五つ?
困惑と呆れが入り混じり呆然としていると、『な、難しくないだろ?』ニヤリと笑ってそう言った。



「なんでケーキを奢らなきゃいけないの?!しかも5個なんて多すぎだって!」
「別に奢らなくてもいいんだぜ?明日課題を未提出するつもりでいるんなら」
「くっ…だけどその取引は断るから!」
「じゃあ俺も教えない。」


やっぱり星野は星野だった。星野が素直に教えてくれるハズが無い。
期待した自分がバカだったと思うと、これ以上何かを言うのをやめて時間を有効に使うことにした。
星野もあれ以上は何も言ってこなくなった。




・・・だけどさっきから何回もチラッと自分を見てくる。





「なに」
「い、いや別に」


そうは言うものの相変わらずチラチラとこっちの様子を窺ってくる。
星野の事だから機嫌を損ねさせてしまって申し訳無く思ってるに違いない。
そう思うんだったら最初からしなければいいのに!



でも冷静に考えてみれば星野は悪くない、寧ろ自分に原因があるということに気付いた。
・・・よし考えの受け取り方を変えてみようじゃない。






ケーキを奢らせるの考え方その2


―――親切な俺はどうしようもないバカに課題の問題を教えようと思った。
しかし、それを無償でするのは本当に人がいい人だけ。俺はちょっと違ってタダで教えるのに気がひける。
そこで、親切で優しい星野は"たったケーキ五つを奢る"を条件にしようと考える。
1個100円のケーキは何処でもあるのだから、アイツの出費は500円で済む。
これなら痛くも痒くも無く、アイツは無事に課題を提出出来て、俺も美味しいケーキを5つ食べれる。
あぁ俺はなんて優しく思いなんだ!よし、これなら提案しても問題無いだろうと思い、条件を出した。








「さっきからブツブツ何を言ってるんだよ?」
「………話を美化しすぎたかも」
「は?」
「ううん、こっちの話。」




星野がこんな人思いな奴だとは思えない。結構失礼な事を言っちゃったけど、思えない。
さっきから頭に?マークを浮かばせっぱなしの顔を見れば一目瞭然。うん、考えるハズ無い。

受け取り方を変えすぎた。もうちょっと星野らしく行こう。





"―――星野は困ってる私に課題の問題を教えようと思った。
しかし、ちょっと違ってタダで教えるのに気がひける。
そこで、星野は"たったケーキ五つを奢る"を条件にしようと考える"


ここまで合ってると思う(ちょっと変えたけど)。
ここからが分からない。長年連れ添ってるけれど分からない。
素直に受け取ってしまった『ただケーキを食べたい』が的確過ぎて他の考え方が考えられない。
私は課題なんてそっちのけで一人ブツブツと考える。

だけどそれも星野の変な条件で考える事が変わってしまった。








「やっぱさっきの条件無し」
「え」
「変更。俺にキスをしてくれたら良いよ」
「・・・・え?」


さっきより悪化してるのは気のせいですか?
違いますよね、気のせいなんかじゃないよね。


「その方が良いだろ?金かからないし、一瞬で終わる」
「そういう問題じゃないから!ききき、キスなんて出来るハズ無いじゃん!!」
「俺がこんな安い条件出してあげてるのに、頑張ろうとしないんだな。」
「へっ?」




あれ、話の方向が…?






は俺のために頑張ろうとしない。増してや自分のためにも頑張ろうとしないんだな?」
「や、え?ちょっと待ってよ…誰もそんな事言ってないじゃない」
「俺にはそういう風に聞こえるんだけど。違うのか?」
「違うに決まってるよ!」
「じゃあ、出来るよな?」



ストレート過ぎる条件に頭が理解してくれない。
ていうかそれってただ星野がしたいだけじゃん! と反論してみたら上手く誤魔化された。
そして不適に笑うと『ほら、おいで。』とスタンバイをしていた。

…コレって空気読むべき、なのかな?








ここでようやく話の冒頭へと戻る。









「星野のイジワル。」
「何か言った?」
「バカ!」
「なんとでも言え」
「〜〜〜〜!!」


星野なんか大嫌いだ。こんなイジワル私は認めない。

認めないハズなのに、心はもうキスしなさいと言わんばかりにドキドキと心拍数を上げてきた。
そのせいでさっきまでは可能だった冷静な判断力を失った。





私の頭は真っ白で、どうしたらいいのか分からずただ蒼い瞳を見るしかなかった。
星野は急かすことも無く諦めることも無くただただ私を見てくる。
するもしないも君の自由 と言っているように見せかけて、実は期待してるんだろう。
その瞳は絶対そうだ。
今すぐにでもその憎たらしい口から『ならやってくれるよな?』と言い出しそうだった。





「このままじゃ埒があかねえじゃねぇな。よし、制限時間を設けます。」
「え、ちょっ」


微動だにしない私を見て悟ったのか反抗する間も与えてくれず、テキパキと説明をしていく星野。
あれ、待って、え、5秒後?しないと押し倒し?ちょ!





頭が完全に追いついていない状態で星野は腕時計を見ながら、じゃあ行くぜ と楽しそうに笑って
カウントダウンを始めてしまった。




当然人間って突然の事を対処するまでに時間がかかるよね。
私もその例外じゃないみたいで、あたふたとするしか無かった。
ていうかそれしか出来ないって!













「さーーーーーんー、にーーーーー」


……ええい!もう躊躇ってる暇なんか無い!!別に初めてじゃないんだし、軽く頬にするだけでいいじゃない!
ようやく脳内がそう指示を出して、私は1秒前に背中を押されて
星野の頬へと口付けをした。



















「あ、あのー…」


もぞもぞと動くが星野から離れられない。まるで背中を押されてる気がして離れられない。
いや実際押されていた。




当然キスは終わっていて今目の前に写るのは青い制服と長い星野の髪。
今自分は説明し難く辛い体勢で抱きしめられていて、腰が痛い。
抱きしめられる事に何も不服は無いけれど、体勢が辛い。

そんな心を読み取ったのか否や星野はよしよしと頭を撫でた。



「よく出来ました」
「……イジワル」
「なんとでも言え」
「バカ」
「お前も星野バカだろ?俺もバカだけどな」
「…ナルシスト。」
「好きだ」


星野なんてイジワルで嫌い。
だけどそんなイジワルに私はなんだかんだ言って惹かれてるのかも。
星野のする意地悪には何故か愛を感じてしまって、どんな意地悪でも嬉しく思えてしまう。

貴方には敵わない。



そして私は翌日課題を未提出する機会も無く、自宅警備をする結果となってしまった。


一周年記念☆御礼小説*3作目* 星野 光×彼女

1周年!という事でセラムン夢を書いてみました♪
最初は星うさだったんですが……何だかうさぎちゃんらしくない口調だな、と思い
夢小説に変えちゃいましたv
星野君は好きな人に意地悪したいタイプだと思います。ていうかそうで合って下さい!(笑)
彼女とかに平気で意地悪をしてしまうんだけれど、ちゃんとその中にも愛やら優しさやらが詰まってて。
これが星野流の愛し方だよね、とか想像してました(笑)
そして『好きな人には敵わない』という別テーマもありましたv
敵わせないのが星野君の力、そして魅力なんでしょうね〜(*´∀`*)(決め付けか)