「ケーキ…?チョコレート…?」
ダメダメ、アイドルなんだもん。
「旅行?海?プール?キャンプ?」
そんな時間アイドルにあるはずないもん。
「どうしたらいいのよぉぉぉ!」
星野の誕生日を後2週間に控えた今日。
学校も夏休みに入って宿題とかそんなことより星野へのプレゼントを考えていた。
「ねぇ、うさぎちゃん?」
「ん?・・・」
「あんた今勉強会してるの分かってんの?」
「うん?・・・」
「だったら雑誌とか見てないで宿題片付けなさいよ!どうせあんた家に帰ると出来なくなるんだし」
「・・・うん」
「ちょっとうさぎ、聞いてるの?」
「・・うん」
「・・・うさぎ!!!」
バンっという激しい音と共にレイの声が室内に響いた。
「は、はいっ!?」
「どうしたの?」
相談するべきか悩んだ結果、みんなの勉強を中断させて話を聞いてもらうことにした。
「後2週間後星野の誕生日なの…何あげたら喜ぶかなぁって」
「そうだったの・・。」
「星野君は何か欲しいものあるって言ってたのかい?」
「ううん、なーんにも。ドッキリであげたいんだけど…どうしたらいいのかなあ」
「悩むわねえ・・・」
結局、話し合った結果で星野が癒される物を渡すことになった。
その癒される物とは
「「「「クッキー!?!」」」」
「そっ♪クッキーとかぁ甘いものって疲れた体に効くじゃないっ?」
「クッキーってさ、甘さ加減とかも調節できるよね?だからちょうど良いと思わない?」
確かにそうだがうさぎ本人までも自覚してしまっている通りうさぎは料理が苦手。
みんなの不安はそこに集まった。
「しかも、まだ期間あるでしょ?こんなあたしでも二週間もあれば大丈夫かなって!」
「でも1人で大丈夫かい?なんならあたしが手伝っても良いんだよ?」
いつもなら助かるーっ!と言ってまことに縋り付くうさぎだが、何か考えがあるらしく一人ですると言い出した。
「大丈夫よ!愛がこもってればどんな料理でも美味しくなるもんなのよ」
「・・・星野君可哀想ね。」
「レイちゃん何か言ったぁ〜?」
「まぁくれぐれも星野君のためを思って作る事を心掛けなさいよ」
「わかってるって!」
それから毎日夏休みの宿題をもほったらかしにして本を片手にクッキー作っていた。
最初は失敗ばっかりだったが日を重ねる事にコツを掴んで家族に試食をさせ「美味しい」とまで言わせるまでに上達した。
・・・しかし、上達したのはこのクッキーの作り方だけである。
二週間というものはあっという間で、7/30を迎えた。
家族をも納得させた自称『スペシャル★クッキーv』を可愛くラッピングして
お洒落にも少し気合を入れて待ち合わせ場所へと向かった。
「お待たせっ!」
「お、久しぶりだな」
毎度の噴水公園での待ち合わせで、寝る前に少し電話で声を聞くことしか無かったが久々に星野の顔を見た。
毎日多忙なる仕事をやっているにも関わらず、その顔に疲れは見えなかった。
やっぱりアイドルというのはすごいなぁって思ってしまったり。
「ごめんね、せっかくの休憩呼び出しちゃって・・」
「別に気にしてないからいいって!」
「そう? ありがとう!」
このうさぎの笑顔は星野の何よりも癒しである。
その笑顔を見れただけで幸せな気分になれていた。
「それで渡したいものって?」
「あっ、えっとねー…」
そう言いながらカバンの中をごそごそとするうさぎ。
「あ、あった。ハイッ!!!」
「!?」
「ハッピーバースデー星野!」
目の前に差し出された可愛らしくラッピングされた小さな透明な袋の中には
手作りと思われるクッキーと小さなメッセージカードが入っていた。
「あ・・・」
「・・どうしたの?嬉しくなかった??」
「いや」
すっかり自分の誕生日を忘れていただけにうさぎからのお祝いはすごく嬉しかったらしい。
星野は満面の笑みを浮かべうさぎをいきなりぎゅっと抱きしめた。
「!?!せ、星野!?え、ちょっと…は、離してよっ」
「…ありがとう。すっげー嬉しかった。さんきゅ」
「なっ・・・。べ、別にいいわよ。。それより!離してよ暑いじゃない!」
そんなうさぎの抗議の声も虚しく
星野はずっと幸せそうな笑顔でうさぎを抱きしめていた。
星野が満足するまでうさぎは噴水公園のど真ん中と言っても過言ではない場所で抱きしめられていた。
「ごめん、あまりに嬉しかったからさ・・・」
「仕方無いわねー許してあげるわよ」
「今度お礼するよ。何が良い?」
「・・・何にしよっかなぁ?」
「高いのは止めろよ?」
「じゃあね…」
そう言うとうさぎは軽く背伸びをして星野に顔を近づけた
微かに頬に暖かい熱が触れた。
「これだけで十分よ!」
唖然としている星野にうさぎはだんだん自分の大胆さに恥ずかしくなって
ふいっと後ろを向いた。
「・・・じゃ、じゃあもうすぐ仕事の時間よね!?」
顔をちょっと赤くしながら星野にそう言うとうさぎは「体に気をつけて、無理をしないでねーっ!」と叫びながら
帰ってしまった。
「・・・大胆なヤツ。」
そう言うと、何か面白くふっと笑ってしまった。
「さーて!仕事もういっちょ頑張るか!!」
―やっぱり愛しい人がいることって、幸せだな
その時の彼の表情はとても幸せそうな笑顔で満ち溢れていました。
ハッピー☆バースデー to 星野。
***