「もー・・なんでメールってやりにくいのかなぁ。」

午前0時。布団の中でこそこそしながら、押しづらい新しい携帯のボタンを押しまくる。

「まー…だーねー…むー…く……く?あ、あった。く…なーい? っと。」

思わず声に出しながら、打ってしまう。本当は電話をしたいけど
こんな夜中にはかけれない。
かといってメールはいいのかっていう話だけど。

「そーうしんっ!」

送信画面が、送信完了したことを知らせる。
なんだかドキドキしちゃって、たったメール一通来るか来ないかでこんなにも変わるものなんだね。







ピロリン、ピロリン〜♪ピロリン、ピロ....

「あ、着た!」

メールの音がなるだけで、立ち上がって舞い踊る。まさに恋する乙女だ。

「えーっと・・、大丈夫だよ。ちびうさちゃんが寝るまで起きてるよ。 …きゃー!」


そばにあった抱き枕を床にたたきつけながら、ニヤニヤしてしまう。

「もーっエリオスったらv なーんて送ろうかなぁ♪」

ここのところ最近しかも夜中によくエリオスとメールをする。
大した話はしてないけど…何か日課みたくなっちゃってる。
でも私はそうなって嬉しい。そうなったことで、毎日の楽しみができたから。
今の時代は本当に便利。メールとか何でも出来ちゃう。
誰かさんなんて四六時中まもちゃんと電話してるのに、壊れない。
世の中は本当に出来たものだ。……っておばさんくさいわね。

「エリオス…早く……朝にならないかな。」

とりあえず何通かメールを交わして、眠りについた。








「ふわぁ〜。眠いー」
「ちびうさー!朝ご飯出来てるってー!!」

階段の下からうさぎの声がぼーっと耳に入ってくる。
ぼそーっとつぶやいてみる。

「珍しい。うさぎが起きてるなんて。」
「ちびうさー!寝てるのー?」
「起きてるわよー!」


せっせと仕度をして、出かける。今日はエリオスとデートの日v
早く逢いたいな。そんな気持ちがいっぱいで思わず駆け足になる。

「あ、いた!」

彼はやっぱり早いな。そんなに私に会いたかったりして!って無いか。
元気に彼へ手を振ると、彼はにこっと笑った。というより微笑んだ。

「エリオスーっ!」
「おはよう、ちびうさちゃん」
「おはよう!!今日はどこいこーっか?」
「ちびうさちゃんに任せるよ。」
「そんなんじゃいつもの変わらないよー。たまにはエリオスが決めてよ!」
「僕はちびうさちゃんの行くところに行きたいだけなんだよ?」

いつもこんな感じ。まるで私が主導権握っているみたい…
エリオスってば、本当は行きたい所あるのに私に遠慮してるんだよね。知ってるんだよ。
ちょっと優しすぎる所が欠点かも。なんて贅沢な悩みかな。


「じゃあ今日はひろーい公園で遊ぼうよ!」
「公園かー。たまにはいいかもね。」
「でしょー!よし行こうっ!」


彼の手を掴み、ぐいぐいと走っていく。
優しい風と太陽の輝きを受けながら。このままどこまでもいけそうな気がする。
そんな春の午後。


「わー・・やっぱり家族連れが多いね!」
「休日だもんね。でも僕たちはどうやって遊ぶ?」
「あ、そうだった……」

みんな思い思いの道具をもって、楽しそうに遊んでいる。
でも思いつきでここへ来てしまった私たちはただぼーっとしておくしかなかった。
草原に寝転がって、青空を見上げる。
雲ひとつない青空。清清しい。こんな平和がずーっと続けば良いのに。
争いなんて無い世界。そして、愛しい人といつまでも一緒に居られる世界だったらいいのに。
でも、つらいことがあるからこそ、愛を分かち合えるのかもしれないね。
そして、平和を感じれるのかもしれない。


「・・びうさちゃん。ちびうさちゃん?」
「へ?」
「ぼーっとしてるなんて、珍しいね。悩み事?」

深く考えていると、どうしても自分の世界へ入っちゃう。
人間そんなものかな。

「ううんなんでもないよ!!」
「何かあったら言ってね。」
「うん!」


ぼーっとまた青空を見ていると、向こう岸の草原にいるカップルが視界に入った。
そういや私たち手繋ぐことしかしてない……よね。
でも一回くらいはその…キ、キスとかはしたけど。
どちらも深く追求しないし(私が子供だからってのもあるかもだけど。)甘い事はしてない。
彼は、何とも思ってないのだろうか・・?

「・・・・・・・。」

聞きたいところだが、なんとなく気恥ずかしくて言えない。
ちらーっと彼を横目で見る。・・・・ん?寝てる?
小さい声で呼んでみる。が反応は無し。
可愛いなあ。いやだって今時ここで寝てる子なんて居ないよね。
なんて思ってると、ふと手の上に何かが触れた。エリオスの手だ。
だけど彼は寝てる。・・・無意識のうちかな。
それでも、なんだかとっても嬉しくて。愛されてる…感じがした。
でもやっぱりドキドキしてしまう。
普段これくらいは、やっているのに・・。なんでかな。


「ちびうさちゃん?」
「は、はい!!」
いきなり呼ばれてしまっては、焦る。
「どうしたの?顔、赤いよ?」そういわれ、上から顔を覗き込まれる。

「え、いや、な、何でも無いよっ!あはは!!」

すぐにばっと立ち上がろうとした瞬間、足元がふらついた。

「えっ?」
「ちびうさちゃん危ない!」

エリオスの反動…といっちゃあれだけど、エリオスが私に近づいてきた瞬間には
私はもう足が地についていなかった。そして水面に浮かんでいた。

「ぶはぁっ!! ビックリしたー。下が川でよかった・・。」
「ちびうさちゃんー!大丈夫!?」
「う、うん!あーでも落ちてよかったかも♪結構気持ち良いよ?エリオスも入りなよ!」
「え?」
「大丈夫!汚くないって。ほーら!!」
「うわぁっ!」

彼の手を思いっきりこちらへ寄せ、彼は見事に落ちてしまった。

「…冷たい。」
「えーそうかなぁ。今日みたいな日にはぴったりだよ!」
「ちびうさちゃん、さっき見た時綺麗だったよ。」
「!?!」

彼は不意打ちで何かを言うから、危険だ。
それも誰もがトキめいてしまうような魔法の言葉。

「人魚姫みたいで、綺麗だなーって思ったよ。」
「やだなーっ!人魚姫だなんて!でも・・・ありがとう。」



時には・・こんな甘酸っぱいのもいいのかもしれないね。
まだ大人の恋愛をするのは、早いね。
私たちは…私たちのやり方で幸せになれればそれでいいもんね。

ねぇ、エリオス。
私ね、あなたのその全てが大好きなの。
だからね、いつまでも私を見守っていて欲しい。
私も・・・尽きるまであなたを見守り続けるから。
***