今年は記録的な猛暑が続くと天気予報が毎日言っているがそんなの分かりきってる。
眩しすぎるのは太陽じゃなくて
視聴者はそれがいつ終わるのか知りたい。もちろん私も例外じゃない。
夏休みに入る前のこの2週間はきっと地獄になるだろう。
――今頃アメリカは夜なのかな。
ミーンミーンミーン、、、、
放課後、今日はみんなの部活終了まで待とうと思い教室では暑いので
グラウンドの隅の木陰で涼んでいた。
セミの鳴き声を聞くとあぁもう夏なんだな、と当たり前だけど思う。
シュワシュワシュワシュワシュワ、、、、
もう4時近くだと言うのにまだ太陽の位置は高く風も生温く、時折涼しい風が吹く。
そのたびに髪が首筋に纏わりつくのが鬱陶しい。
元気に動いている運動部を眺めながら自分もああいう風に動けたら良いなと思う。
(変身してる時は不思議と動けるのになぁ・・・・)
ミーンミーンミーン、、、、
ふと、喉が渇いたので購買部へ行く事にした。
適当にスポーツドリンクとオレンジジュースの缶を持ってさっきの場所へ戻ると
誰かに場所を取られていた。
しかも見覚えるのあるような……ないような……?
「ぁ、」
近づいて見てみれば気持ち良さそうに体操服で寝ている星野だった。
体操服?と思ったがそういやアメフト部に所属していたっけ、と思い出す。
(ちゃんと部活やってたんだ)
起こすのも何だか悪い気がしてその場に缶を置いて反対側の木陰に座った。
まるで映画のワンシーンみたい、なんて思いながらゆったりと動く入道雲を見た。
シュワシュワシュワシュワシュワ、、、、
どれくらい経ったのだろう、そういえばジュース飲んでなかったことに気づき
後ろを振り向いた瞬間冷たい物が頬に当たった。
「うひゃっ?!?」
「よっ」
目を開けて上を見ればしてやったり、という顔をした星野が居た。
両手には冷たい物の正体、さっき買ったジュース缶が握られていた。スポーツドリンクのフルタブは開封済みで。
なんで?と聞くまでもなく美味しく頂くぜ!と一気に飲み干し空き缶を渡して、後はよろしくなと言った。
「そういやおだんごはこんなところで何してんだ?」
オレンジジュースのフルタブを開けながらみんなの部活待ちと答える。
アイスには敵わないがひんやりとしたジュースが喉を通っていくのが気持ち良い。
「へぇ〜じゃあ俺も待ってくれてんの?」
「なっなんでそうなるのよ! だいたい星野はサボってるじゃない」
「サボリじゃねぇよ。今は休憩時間なんだよ」
ふーん と適当に相槌を打ってジュースを一口飲む。
最初に来た時よりも風は涼しくなっていて首筋の汗も徐々に引いてきた。
それでも暑さは変わらなかった。
「・・・・・・・・・調子はどう?」
「・・・何の?」
気まずさ故に発した質問に、ちょっと失敗したかなと思った。
「アメフト!あれから喧嘩とかしてない?」星野はすぐ突っかかるクセがあるからね〜
「あぁ、してないよ。ちゃんと上手くやってるし、何せ俺だぜ?」
「天下のトップアイドル、星野光! だっけー?」
「よくわかってんじゃん」
ニタリと笑う星野が眩しく見えた。
木陰の日がちょうど良い具合に当たってるからかな?
ミーンミーンミーン、、、、
飛行機のジェット音がセミの声と混ざった。
見上げれば綺麗な飛行機雲が青空に装飾していた。
シュワシュワシュワシュワシュワ、、、、
―まもちゃん…
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・何思いつめた顔してんだよっ」
ベチンッ
「ぁだっ!」
綺麗なデコピンが額に赤い印を残した事に満足げに見ながら、そんな心配そうな顔すんなよと言った。
べ、別にしてないわよ、と言い返せばおだんごには似合わない。
「なにそれ?」
「とにかく俺をもっと頼れよ。いつでも力とか元気とか分けてやるからさ!」
「星野から元気取っちゃったら何にも残らないよ?」元気だけが売りなのにっ
「お前にあげる元気くらい持ってるっつーの。」だから心配すんな!
ポロ
「?!お、おだんご?」なななななんで泣くんだ!?
「ぁ、れ…な、なんでだろう、?ごっごめん・・・・」
いつの間にか泣き出してしまって、どんなに拭っても拭っても溢れてくる。
どうしたんだろう?
・・・・・いつからこんなに涙もろくなってしまったんだろう。
何故か星野の言葉が温かくて、何故かあの人を思い出した。
何気ない笑顔と真っ直ぐな言葉が私を揺らした。
この暖かさと安堵感が胸を締め付ける。
無言で頭を撫でている手がまたどうしようにもなく優しくて
ますます涙が止まらない。
誰の前でも泣かないって決めていたのに、誰よりも強くなきゃと思っていたのに
こんなに簡単に崩れてしまった。
だから せめて声を押し殺して泣いた。
でもそんな努力も無駄だったみたいで。
「・・・泣きたいときは泣いとけ」
「…ぅ、うう……うぅぅっ!!!」
カナカナカナカナカナカナ、、、、
「落ち着いたか?」
「・・・・うん。ごめんね。」
泣き止む頃にはセミの鳴き声も静かになっていて涼しくなっていた。
涙の乾いたところがヒリヒリしてちょっと痛い。
ぼーっと静かな沈黙。
急に泣き出すからビックリしたぜ、とその場を和ませようとする星野に
また優しさを感じて泣きそうになった。
「ありがとう!」
だから精一杯の笑顔で伝えた。
時計を見てみるともうすぐ完全下校の時間を指すところだった。
そろそろ部活も終わる頃だろう。
「じゃあ、またあした!あ、ジュースはちゃんと自分で片付けなさいよっ」
オレンジ色をした缶を手にとって急いで校門へと走った。
君の不思議な力が私を頑張らせてくれた。
泣き虫な私を優しく背中を押してくれた。
何気ない言葉と思いやりが強くしてくれた。
私、星野が居てくれたから頑張ろうって思った。
ありがとう。
ついでに持ってきた青色の缶がやけに暖かく感じた。
まるで星野みたいだね、なんて。