(あー・・ねみぃ…。)
――ガタンッ!!!
(どうやらおだんごもらしいな。)
暖かく春みたいな陽気の中。古典というつまらない授業が始まる。
ここんとこ毎日1、2時間しか寝てない俺には、地獄のような時間だ。
暇つぶしにシャープペンシルをくるくるとまわしてみる。がやはり眠い。
アイドルというものは辛いものだ…。
だけどそこまでして学校に来るのは前の席の愛しい彼女を見たいからだ。









つまらない授業もようやく終わり、みんなは早々と教室を去っていく。
大気と夜天は仕事があるので学校には来ていなかった。
愛野はどうやら用事があるらしく、木野と水野の3人で帰っていった。
そう。そして教室の中はまだ眠っているお団子と俺のみってわけだ。
こんな時に夜天が居れば「星野は何するか分かんないからね〜。」と嫌味っぽく言うだろうな。
さて…そろそろ帰らないと日が暗くなる。
せっかく寝入っているお団子を起こすわけにはいかないだろう・・けど
帰らないと遅くなる・・・。

(しっかし、よくこんなお団子をつくれるよな…。)

金色のお団子ヘアーを見る。手入れとか大変そうだ…。しかしなんであんなに長いんだ?

(俺も人の事いねぇけどさ…。)

「んっ…まも…ちゃ…ん・・。」

(あいつの夢を見てるのか。だいたいこんなにもお団子が寂しがってるあいつは何してるんだ?)
そう聞こえた瞬間、ムッとした。

「おいお団子起きろよー」
……起きねぇ。それから何度も揺すったり、呼んでみたりしたが、眠ったまま。
(俺だって寝てぇのに。)
「起きないと置いていくぞー。」


そう言い、うさぎの手に触れた瞬間うさぎの手が星野の手を握った。
とても強く・・けど伝わってくる温もり。

「まも...ちゃん。」
「んだよ・・・。」


自分の手を握りながら、他の男の名を呼ばれてはたまらない。
自分の手は、他の男の手では無い。もしかしてこいつは俺の手を彼氏の手を握っているのだろうか。
そう考えると、とても辛くなって胸が急に苦しくなった。

「お団子・・・。」

何故か分からない。急に彼女の名を呼ぶ。
片方の手で夕焼けで輝く金色の髪に触れたかった。俺がついてるから、泣くなって言いたかった。
これ以上手を握られていると、自分の理性が持たなくなってしまう。

わざと、近くにあった椅子を蹴った。自分の思いと共に。



「うわっ!!・・・なんだ..夢かぁ。あれ?星野ここにいるの?」


まだ余程眠いのか、目ほこすりながらまたうつ伏せになる。





「やーっと起きたか。お前ずーっと寝てたんだぞ?そりゃあもうイビキがうるさかったぜ・・・。」
「ええっ!?あたし・・イビキなんかしてたっけ・・。」
「ずーっと寝言で星野ってカッコいい・・とか言いやがって。」
「はぁ!?あたしが流石にそんな事言うわけないじゃない!!」
「なんだよ。そんな事って! まーお団子ももーっと素直になれよ。な・・?」


ぐっとうさぎに顔を近づける星野。多少寝ぼけていたうさぎも少しずつ顔を真っ赤にする。


「ち、近いって・・」
「何が?あ、お前顔赤いぞ!熱でもあるんじゃねぇの?」

ぐんぐん顔が近づいてくる。近づいてくる度に胸が高鳴る。
心臓が星野に聞こえてしまいそうで怖い。


「や、だから顔がちか・・わっ!」


あまりの顔の近さに後ろに下がっていたら、机にぶつかって押し倒されてしまった。
しばらく沈黙のままお互いの顔を見つめあう。


「え、えと・・・は、離してよっ!!!」
「あ、わりぃ。もう暗くなるから送ってやるよ。」
「い、いいわよっ。何考えてるか分かんないしっ!」
「ほーらいいから!・・なんだったら何かおごろうか?」
「くっ・・。」



うさぎの弱みを握れば、ほとんどの場合はイチコロ。
甘い考えかもしれないが、彼女にはこれが一番効く。
腕組みをして賢明に考える姿を見てると、思わず笑ってしまう。

「・・お前さ、最近楽しいか?」
「えっ、何よ突然。」
「いやさ、たまーにお前の顔から笑顔が消えていく時があるからさ。何か辛い事でもあるのかなーって。」
「え・・・。」


なんでだろう。どうしてこの人は私を分かっているんだろう?
どれだけ私を見ているのかな。みんなには隠してるつもりなのに........この人は分かってる。


「まーさっ! 送ってやるぞ。ありがたく思えよ!!」
「なっ!・・・ありがたく思うわ。」


恥ずかしそうに照れながら言ううさぎを見て、思わずうさぎの手を握る。

「ちょっとーっ!!」



握られた瞬間、ちょっと疑問が浮かんだ。夢の中でまもちゃんと手を繋いでいたあの時の温もりが似てる。
というより・・・一緒なのかもしれない。もしかして...あの時私の手を握っていてくれたのは星野なのかな?
だとしたら・・・・。



「いいじゃんいいじゃん♪減るもんじゃないしさ!!」
「そういう問題じゃないでしょっ・・。」





だとしたら・・ちょーっとだけ・・・ほんのちょっぴり嬉しいなっ・・。
まもちゃんには内緒だけど...星野が握っててくれてよかったなぁ。
ほんのり暗い夜道を歩いていく....









―ライツ宅にて。
「ただいまー・・・。」
「おかえりなさい。わっ!星野・・その顔どうしたんです!?」
「うっわー・・・目の下酷い"くま"が出来てんじゃん。」

鏡を見ると、いつもと違った自分の顔に驚き。

「ごめん・・・・俺っ・・・もう一度プリンセスの顔がみ・・たかっ・・た。」

そういうと、ソファーの上で息絶える真似をして、そのまま眠りについてしまった。

「これからちょっとスケジュールを変えなければならないみたいですね...」
「別にしなくてもいいんじゃなーい?無理してあの子の溜に学校行った星野が悪いし。」
「それもそうですね。このままで行きましょうか。」
***
Novel Top