「まーもちゃんv」
「ん?」

これは、まだアメリカへ留学する前のバレンタインのお話。








「ねーねーねー。あたしのこと好き?」

ピンク色の髪をした女の子が聞く。

「どうしたんだよいきなり。」
「ちょっとちびうさ!あんた邪魔よ!」

黄色い髪をした女の人がそういう。

「だってー…。もうすぐバレンタインだから。」
「あ、まさかアンタ!まもチャンにチョコをあげようとしてるの!?」
「だったら悪い?」
「わ、悪いに決まってるわよ!だいたいまもちゃんは私のものなんだからね!」
「だーれがうさぎのもんだって、決めたのよ!」
「まぁまぁ……2人とも落ち着いて。」


バレンタインを一週間前に控えた衛の部屋。
衛とうさぎの子供ちびうさちゃんはもちろんまだ居ますよ。なんたって留学前ですからね。
そして、いつものように衛の取り合い。しかもお母さんと。
ちょーっと外れているお母さん。でもとっては大好きでちびうさちゃんにとって憧れの人だったりもします。
帰り道。2人の話題はバレンタインのチョコへ。


「はあ。何作ろうかなぁ。」
「そりゃあもう愛のたーっくさんつまったラブラブハートチョコでしょう!!」
「アンタなんか工夫とかしないの?」
「へ?工夫て?」
「そんなのじゃ、普通過ぎるでしょ!!だからもっとこう…しようとか思わないの!?」
「んー…あたしさ、ほら不器用じゃん?だから慣れない事をすると絶対失敗しちゃって…」
「失敗に恐れてちゃダメじゃない!」
「そうねーでもね、私はこれがいいの。これでまもちゃんに愛を渡したいんだー。」
「ふ〜ん……。それって、あたしにまもちゃんを譲るっていう風にも聞こえるんだけど。」
「う。そーいうアンタは何作るのよ。」
「それがさ、まだ決まってないんだよね。」
「誰にあげるのよ。」
「そりゃあもちろんまもちゃんでしょvv」
「あーダメダメ!まもちゃんは私のしか受け取らないのよ!残念でした〜」
「むっ……なによ。」
「おーほっほっほっ!」
「じゃあ、勝負しようよ!あたしとうさぎのチョコをもらって、どっちが美味しいっていうか!」
「望むところよ!」



それから一週間後のバレンタインデーの衛の部屋にて。

母子おそろいで、声をあわせる。服装もいつものよりキメている。
両方の手元を見ると、どちらも箱をもっている。しかしうさぎの方が大きい。

「せーのっ…。ハッピーバレンタインまもちゃん!」
「ありがとう。嬉しいよ。2人とも俺にチョコをくれるのか?」
「もちろんでしょーうvvただちびうさが許せないけど。」
「あたしにとって、アンタの方が許せないわよ!」
「あ、あのさ今あけてもいいかな?」
「もっちろん!!」

母子そろって笑顔で答える。
まずはうさぎの方から。

「おぉー。うさこにしてはよく頑張った方じゃないのか?」
「でしょーっv」

ハート型のシンプルなチョコ。外見を見る限り、とてもおいしそうだ。

「ちなみにうさこ。これちゃんと味見したのか?」
「うっ! ち、ちゃんとしたわよ!!」
「不安ねえ」
「なっ!だーってこんなに綺麗なんだから、不味いわけないでしょ!さぁ食べて食べてv」


ハートのチョコの端っこをパキッと割り、衛がチョコを口にふくむ。

「どう!?どう!!」

衛を見ると、ちょっと顔が青ざめている。よほど不味いのだろうか。

「あ、甘くておいしいよ……うん。」
「ほーらねっ!どう?ちびうさ!」
「まもちゃんかわいそう…」
「何か言った?」
「別に!じゃあ次はあたしのをあけてみて!」


衛は紅茶を何口か飲むと、次はちびうさちゃんの箱を開けた。
すると、ちょっとくずれたハートのチョコが入っていた。



「あーら、不味そうなチョコだこと!」
「うっ。でもあたしは見た目より味で勝負なんだから!!」
「ま、まぁちびうさの言う通りだな。よし食べてみるか。」

ハートのチョコの端っこをパキッと割り、衛がチョコを口にふくむ。

「…おいしくない?」
「いや、すごくおいしいよ。それほど甘くもないし苦くもない。ちょうどいいじゃないか。」
「わーいわーい!まもちゃんはあたしのチョコの方が美味しいってよ!」
「む、そんなこと一言も言ってないじゃない!」
「さっきの言葉は、言ってるのと一緒よー。」
「でも、確かにちびうさのは見た目と違ってすごく美味しかったぜ?」
「まもちゃん…ありがとうっ」
「くやしーっ!」
「うさこのも、見た目がすごくきれいで、よくがんばったよ。」
「うぅ…どうせ私のは不味いですよーっだ……うわあぁぁぁあん」
「もー、ほんとうさぎって子供なのねー。」
「はあ。来年こそは、あんたに勝つわよ!」
「あたしこそ来年もあんたに勝つわ!」



来年もきっと、幸せなバレンタインデーを送れますように。
そして、いつかうさぎを超えれる日が来ますように。
***
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