「いってきまぁ〜す!!」
「気をつけていってらっしゃいー」

冬だと言うのに、今日は春並みの気温だと言う。太陽がキラキラと雲ひとつない青空で輝いてる。
そして今私は愛しい人に会いに行く。








待ち合わせの噴水のある公園。着いた時待ち合わせ時間から30分も超えていた。
もちろん彼は居た。太陽の光に照らされて。遠くからでもすぐに見つけることが出来る貴方の光。

「ごめん!!待った?」
「ううん、大丈夫だよ。ちびうさちゃんの方こそ大丈夫?走ってきたんだよね?」
「う、うん…でも平気平気!エリオスにあったら元気になっちゃった!」

そういうと彼は優しく微笑んだ。

エリオス。私の愛しい人。そして大切な人。
とてもとても大きくてやさしい光を私に照らしてくれる。そんな人。

まもちゃんくらい格好よくて…とにかく大好き。
彼の言葉と同時に彼の手に自分の手を絡める。強く。しっかりと。
街はピンク一色に染まっていた。後何週間後にはバレンタインがあるからだ。
お菓子屋さんの中には、女性のお客さんが多い。きっと彼氏にでもプレゼントするのだろう。
そんな光景を眺めながら歩く。


「そういえばエリオスはチョコとか甘い物すきなの?」
「え、どうして?」
「い、いや理由はないんだけどー。甘い物嫌い?」


理由はある。もちろんバレンタインにチョコをあげたいから。
想いと一緒に彼にあげたいから。それしか理由は無い。
でも、そんな事を言ってしまってはちょっとドキドキ感が無い。
どこかの誰かさんみたいにはできない。

「うーん…嫌いじゃないよ。普通かなぁ。ちびうさちゃんは?」
「そっりゃあもうだーいすき!!美味しいし甘いし……もう最高よ!」
「ちびうさちゃんがいうと、何だか説得力があるね」
「そ、そうかなぁ?」



そんな会話をしながら、1日中彼と楽しんだ後家に帰って、ベッドに寝転ぶ。


「普通かぁ。どうしようかなぁ。うさぎに相談しようかな。いややめといたほうが良いわね。」
「なによ。隠し事だなんてー。」
「わーっ!!」

突然声が聞こえ、ベッドから勢いあまって落ちてしまった。

「なぁにー。どうしたの?恋の悩み〜?」
「そ、そんなんじゃないわよ!……ねぇうさぎはまもちゃんにチョコあげるんだよね?」
「あったりまえでしょーっ!愛をたーっぷり込めてねv」
「そっかぁー」
「誰にあげるのーっ?」

……来ると思った。
とりあえずまだうさぎにはエリオスの事を話していない。
何だか気恥ずかしくて、いえない。
やはりうさぎに相談したのが間違いだったかなーなんて本当に思ってしまう。
こういう誤魔化しは得意じゃない。



「んー・・秘密ー。まぁアンタ何かに教えるだけ無駄でしょうけどねー。とにかくあっちいってよ!!!」


ぶーぶー言っているうさぎの背中を押しながら、部屋から追い出す。
バレンタインまで後約2週間。とりあえずは雑誌を見て頑張るしかなさそうだ。



それから、2週間後のバレンタイン当日。
今日は彼の家で待ち合わせ。今度は遅れないように早起きをしたけれど、やっぱり遅れてしまった。
やはり、お母さんがお母さんだからかな。遺伝なのだろう。
今日も太陽がキラキラと輝いていて、まぶしい。片手にチョコを持ち彼の家へと向かう。
玄関のインターホンを押すと、彼の声が聞こえた。

「おはよーっ!遅れてゴメン!!」
「おはようちびうさちゃん。大丈夫だよ。さぁあがって。」

彼の家へははじめていく。お邪魔します。と一言言って居間へ通された。
居間へ通された瞬間言葉にならなかった。

「うっわあ…片付いてる。うさぎにも見習わせなきゃ……」
「そうかな?まぁとりあえず座って。今お茶持ってくるからね」

落ち着いて辺りを見回す。
エリオスらしい部屋といえばそうなんだろうけど。
家具とかいかにもエリオスっぽい。


「はい、どうぞ。寒かったよね?これでも飲んで暖まってね。」
「ありがとう。……あのね、私今日チョコ持ってきたの。」
「チョコ?」
「うん。エリオスのために手作りのチョコつくってきたんだーっ」

紙袋の中から昨日自分で包装した箱を取り出し彼の前へ差し出す。


「ありがとう。僕のためなんかに作ってくれたの?」
「で、でもそんな大したものじゃないよっ!ちょっと見た目出来が悪いんだぁ。」

確認するためか、包装を綺麗に取り箱の中身であるチョコを見る。
ちょっと形がぐちゃぐちゃになっていた。
しばらく彼は黙ってチョコを見つめていた。そして何か思いついたかのように私を見る。

「えへへ…無理して食べなくても良いよ!変にお腹壊しちゃ駄目だもん。ただ受け取ってくれるだけで良かったから!」
「じゃあ一緒にお腹壊してみよっか。」
「えっ!?」

意地悪っぽく笑って言った彼。
予想外の言葉に驚き。きっとその時の自分の顔は面白かったんだろうな。
いやそれにしても、彼からそんな言葉が出るなんて。
自分が作ったチョコを渡された。正直、自分でも味見をしていない。
(いや指で舐めるくらいはしたけどね。)
「せーので食べよう。はいこれ。」
「あ、はい…」
「いくよー。せーのっ!」
慌てて口にチョコをふくみ、味わってみる…。
…まぁ食べれなくは無い味だとは思う。けれど、そこまで美味しいものでもないような気がする。
恐る恐るエリオスの反応を見てみた。……あれ?どうしたんだろう。
キラキラ瞳を輝かせ、本当に美味しそうに次々とチョコを食べていく。

「ちびうさちゃん、これ美味しいよ!!僕が食べてきた中で一番美味しいよ!ちびうさちゃん!!」
「エリオス…嬉しいけどいくらなんでもそんなに食べちゃお腹壊しちゃうよ?」
「美味しいから平気だよ!ありがとうちびうさちゃん!!」


とびっきりの笑顔で私を見る。あぁやっぱり貴方が好きだ。と改めて思った。

―ねぇエリオス。
私の王子様は・・・きっと貴方だよね?
きっとこれは運命なんだよね。
私・・もっと素敵な"乙女"になるから、それまで待っていてほしいの。
貴方のその輝きに合うような"乙女"になるから。―
***
Novel Top