5月の暖かい陽気にうんざりしながら、夕暮れの帰り道。
今日はなんだかやけにお団子が大人しかった。
一緒に帰ろうぜ、と誘えばうん、と頷いて素直についてきた。
意外な反応だったけれど、ちょっと嬉しく感じたり。
だけどいつものお団子のハジけた感じが無くて、少し寂しいと思っている自分が居る。


「タンポポって可愛いよね。」


ふと川原に指しかかった時ほんわり朱色に染まったタンポポが目に入ったのか、お団子はこう呟いた。

「まぁ、そうだな。」

お団子はそのタンポポの近くに寄って、タンポポを指でつついたり軽くつまんだりしたりして遊んでいた。

「なんか・・しんみりしちゃうね。ごめんね、星野。」
「別に謝らなくてもいいだろ?時にはそういう気持ちに浸るのも悪くないぜ。」


ぽんっと肩に触れると同時に俺の方を振り返ったお団子の笑顔はどこか切なくて甘苦い感じがした。



「星野って見かけによらず、優しいよね。」
「んだよ、それ・・。」
「はは、ごめん。それからありがとう、星野。」


なんか...照れくさいねっ、といつものようにはにかんだ笑顔。



―なぁ、お団子の彼氏さん。早くアメリカから帰って来いよ。
じゃないと、俺が愛する彼女を頂くぞ。だから電話で愛してるぐらい一言残してやれ。
悔しいけど、こんなお団子を俺は見たくない。
とりあえずアメリカはこっちの方角だろう、と思われるほうを向いて俺は心の中で祈願した。


綺麗事のようだけど、お団子の幸せは俺の幸せなんだ........
そう思いながら俺はお団子の背中をぽんっとエールを送った。


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「あっつーい。」

とある日の昼休み時間。珍しくハルヒは大人しく席について、手で自分の顔を送り込んでいた。

「ねぇ、これなんとかなんないの?」
「俺に言うな。」

堪ったもんじゃないわねー、とぶつぶつ呟きながら俺はそんなハルヒを見ていた。

「はぁ…。ねぇ、キョン。」

ちょっと外に視線をやりながら、顔は俺の方へ向けているハルヒに視線をよこした。

「そのカッターシャツの第一ボタンと第二ボタン開けてネクタイを緩めるのやめなさいよ。」
「…何故だ?」

突然何を言い出すかと思えば、ハルヒ。お前は俺の体を蒸すつもりか。

「べっつに理由なんてないわよ。」
「うそつけ。理由無かったらお前がこんな事言うわけないだろうが。」

事実、意外の意外でハルヒの脳内が狂ったかと思ったくらいだ。(あんまり説得力無いのはスルーしてくれ。)

「ただどうしても目がそっちに行っちゃうって、ただそれだけよ。」
「ほう。」

…つまりなんだ。ハルヒは実は外を見る振りして、時折俺のこの襟部分をチラ見しているってことか。
ほーう・・。ハルヒはこういうのに何かを感じるのか、そうかそうか。一つ勉強になったぞー。

「だから、きちんと風紀をしなさいよ。」

つーことはー…ハルヒはこういうのに弱い、と。俺は何を思ったのか第三ボタンまで開けようとしていた。

「なっ、どうしてそこで開けるのよ!バカじゃないの!?」

ハルヒは明らかに動揺して顔をほんのり赤らめながら、再びグラウンドに視線を向けた。

「お前のためにやってやってんだ。感謝しやがれ。」
「バカじゃないの。私はきちんとしなさいって言ったのよ。」

あぁ、なんだろう。今の俺はこのやり取りを楽しんでいるようだ。なんていうんだろうか…まるで幼馴染のような。
そんな幼稚なからかいをハルヒにしたくなる。そして困惑気味のハルヒを見ながら俺は満足していたりしていた。

全く・・いつもと変わらぬ日常を送っている俺ならこの暑さにうんざりする所だが、
今はこの暑さがもっと酷くなってしまえば良いと思った。
今見たく軽く思考回路が外れてくれたら、と思うほど俺はこのやり取り
が気に入っていた。



〜真夏の炎天下は色々な意味でアブナイ〜
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