お前の行きたいところは?と今まで散々聞かれてきた。
そのたびに遊園地、水族館、動物園etc...と言って来たけれど
そろそろネタが尽きてきた。
星野と過ごせるのなら何処でも良いけど、と言うと

「遠慮せずに言えって」

だから遠慮しない素直な気持ちなままこう言った。

「じゃあ…星野の家に行きたい!」

その瞬間、星野の顔がボッと湯気が吹いた。






元々待ち合わせ場所だった十番公園は星野"たち"の住むマンションからは遠く
ちょっと歩かなければならないらしい。
せっかく天気も良いことだしタクシーなんて使うのはもったいないので快く承諾した。



あ、星野たち、と複数形なのは、実はスリーライツの3人で住んでいるからだ。

なんとなく想像はついていたけれど改めてアイドルって凄いなぁ、と思う。
あたしだったらお母さん無しで生活なんて出来ない。…情け無いけど……。


そう言うと「まぁおだんごは俺無しでも無理だもんなー?」とつっかかってきた。

「別にアンタなんか要らないわよ!」

「そこまでハッキリ言わなくたって良いだろー」

ちょっとふくれっ面になった頬をついっと指して可愛くないーと言った。




暫く歩いていると歩道の脇の桜の木が目に入った。
もうすぐ満開、というところでぽつぽつとキレイに咲いている。
桜はキンモクセイの次の次くらいに好き。
春らしい匂いに可愛い花びら、ふわふわしているピンク色。

だけど1番好きな花はキンモクセイ、ってことにしておこう。
理由なんてただ一つ。




星野の匂いがするから  なんてねっ



「ニヤニヤして人の顔見てどうしたんだ?」

「ううん、なーんも」

ニヤニヤしてる…かなあ。
なんとなく照れ隠しに握っている手の力を強くした。

















「あ、、、、、これ?」

「そう、それ。」


でっかい。


それが1番最初に思った事。

2番目は……たっかい。
多分14階なんて楽に越えてるだろう高さ。
もう完璧にアイドルマンションのようだった。
きっと各部屋に突撃☆お宅訪問でもしたら90%はタレントとか有名人が出てきそう!

「ははっ かもなー?」






うん、やっぱり中もでかかった。というより広かった。


さすがアイドル、という家具はそれこそなかったけれどシンプルな感じが良くて
大気さん好みの部屋なのかな?と思った。
とりあえずそこの部屋入って、と促がされ入ると
淡いキンモクセイの匂いがふわり、とした。


「じゃあそこらへんに座ってて」








バタン。




・・・・・・・・・・・・・・。






不意に前読んだ雑誌のあるページが目に浮かんだ。
・・・・・・あぁ、ダメダメ!そんなの最低。ぶんぶんっと頭を振る。

―ベッドの下を探してみよう☆きっと......


星野も男の子だし…そ、そそそんな本があるのか、なー…なんて。。。


「…ってダメだよー!!!あたしにはそんな事出来ない…」


ちらーっとベッドを見てみると下に旅行カバンが入るくらいの隙間があった。
思わず凝視。
・・・・・ちょ、ちょっとだけ、、手を伸ばすくらいならいいよね、うん。





そろそろ、と左手を中に入れて物体を探す。

ほこりなんていうものは無いみたいで絨毯のサラサラとした感覚だけが分かる。
暫く手と腕だけを動かしてみたけれど全くある気配が無い。


まぁアイドルだもんねーと諦めて最後に手を伸ばしたところで、



固い物体とぶつかった。
指先でギリギリよく触ってみると雑誌の背表紙?みたいなもの。
・・・・・まさか、ね。
たまたま下に入り込んだだけとか、隠してるとか…あれ、何を隠してるの?

気づけば一生懸命にその雑誌を取ろうと頑張っていた。

だから主が入ってきたとき全然気づきもしなかった。




「・・・・・・なにしてんだ?」

「うっひゃぁ?!」


反射的に伸ばしていた腕を引っ込めたけれど、やっぱりバレたみたいで
星野の顔が半ば引きつっていた。


「ご、ごめんなさい・・・・」

「エロ本探しか?」


笑いながら聞いた星野は図星なんだなー?と確認してベッドの下へ腕を伸ばした。
そこから出てきたものは


一冊のアルバム。




「残念だったな!エロ本をこんな分かりやすいところに隠す男はいねーんだぜ」
「・・・・・・・・ってことは持ってるの?!」
「あ、」

しまった、という顔した星野はまぁまぁこれをみてくれよ!と誤魔化した。
…まぁ深くつっこんだらダメよね。




小さい頃の星野たちがいっぱい写っているアルバムを見ながら
帰ったらあの雑誌の出版社に電話してみようと思った。






****



「な、なぁおだんご。」
「ん?なにー?」あ、この星野もかわいー!!!!

「今日、なんで俺の家に来たの?」真面目な話だからアルバム没収。

「あっ。う〜ん…。なんとなく、だよ?」
「そ、そうか・・・・。」



(彼の夢はいつ叶うのでしょう?)