現在、6月29日23時50分。

今日は珍しく遅くまで勉強をしていたらすっかり寝る時間が遅くなった。


と、いうのも期末考査の実施日が近いのです。
流石に高1にもなって英語30点なんて悪い意味で思い出に残っちゃう!
そんなの嫌だから必死に頑張ってました。


「さーてと寝ようかなあ」


ココアを飲んだカップをキッチンに戻すついでに、家の戸締りチェックもしておかなきゃ。
真っ暗になった1階をビクビクしながら戸締りの確認をしていく。

「よし、ここも大丈夫。部屋に戻ろうっと」

カップをキッチンに置いて階段を上ろうとした瞬間




―プルルルルルルル、プルルルルルルル




こんな時間に電話?!

それよりも電話の着信音にビックリして思わず声を上げてしまった。
リビングの時計を見てみると23時59分。イタズラ電話としか思えない時間帯だった。
出ようか悩んでる間にもずっと鳴り続ける電話。

―プルルルルルルル、プルルルルルルル
―プルルルルルルル、プルルルルルルル


「・・・・長すぎる・・・?」

普通イタズラ電話ってすぐに諦めたりするもんじゃなかったっけ?
と、すると、……誰か知り合いなのかな。
そろそろ出ないとパパやママが起きてきそうだと思ったので、おそるおそる電話の受話器を握る。
・・・・・全くホント迷惑な人ね!

かちゃ、

「は、い。もしもし、月野です。」












「おだんごか?俺、星野だけど」












「なっせ星野?!」


予想外の相手に思わず電話を切ろうとした。なんで星野?!
わけがわからず、なんて言って良いのか分からなかった。


「こんな時間にごめん。でも起きててよかった。」

「もう…イタズラ電話かと思ったんだからね!」

「ごめんごめん」

「…こんな時間にどうしたの?」


こんな時間に電話を掛けてくるくらいなんだから、きっと用事があるんだろうと思い聞いてみたものの
何故か星野は答えない。言うのを躊躇っているようにも感じる。まさか家出とかしたのかしら…
そんな良くないことを思い始めたとき、深呼吸をする音が聞こえた。






「おだんご」


「なあに?」






「誕生日、おめでとう。」










「っえ?」









え、誕生日って・・・・あれ、ああ。え?・・・・・・あぁ!!
そうだ、あたし、今日、・・・日付はもう6月30日だ。あぁ、そうだ・・・・・。









すっかり自分の誕生日を忘れてたことと、星野がわざわざ電話を掛けてきてくれることが嬉しくて頭の整理が追いつかない。

そんなあたしに追い討ちを掛けるように星野は言った。



「今、お前どこにいる?」

「えっと1階の玄関前だけど?」


じゃあ玄関をあけてみろよ、と言われたので子機に持ち替えて玄関のところへと向かう。
何かプレゼントでも置いてあるのかな?
大きい音を立てないように静かに玄関の鍵を開けて、戸を押す。





・・・・そういえば、随分と星野の声が近くで聞こえた気がした。




「っ!!」








ああ、もう。
この人はなんでここまでしてくれるんだろう。




















「ハッピーバースデー 月野うさぎ様。」















外灯が照らしているのは赤いスーツと赤と黄色が混じった花束。








この人は、、なんで、本当にもう・・・・・・















「誰よりも先に言いたかったんだ。」


「もう・・・ホント・・・あんた、バカでしょ。」


「あはは、そうかもな」






どうしようにもないほど、星野の頑張りが伝わってきて

あたしを喜ばせようと、今日は1日中スケジュールが詰まってたのに違いないのに
わざわざこんな時間に家まで来る優しさが

いまのあたしにはとても痛かった。


泣きそうになるのを堪えながら、星野との距離を縮めていく。
縮めれば縮めていくほど星野の顔がハッキリみえてくる。
疲れるはずなのに全然疲れてない顔で。




「ね、星野」

「ん?」

「恥ずかしくない?」

「・・・・まぁそれなりに。」









「ありがとう、ね!」



「いえいえ」



きっと、この先、貴方みたいな人、現れないよ。
だから、一生の思い出にする、ね。



(黄色い向日葵と赤い薔薇の)